少量生産のチョコレート

世の中に流通するチョコレートの大部分は均一な大量生産品です。

赤道付近の農場で作られたカカオ豆は品質ではなく量で取引され、産地や銘柄を混ぜ合わせながら多くの中間業者を通して巨大メーカーが買い取り、加工されカカオマスとなり、圧搾されココアパウダーとカカオバターの2つの商品に分けられます。

カカオバターの一部は化粧品など、より高値で取引される市場にいきます。かさの減った残りのカカオバターを安価な植物油脂で補い、カカオマス、ココアパウダー、砂糖と乳化剤と香料を混ぜて固めたものが、今までのチョコレートでした。

しかし、この10年ほどでアメリカを中心に新しいムーブメントがチョコレート市場に起きています。

大量生産で失われていたカカオ豆の個性を引き立てた、小規模メーカーが幾つも誕生したのです。

 

豆のブレンドを行わず産地ごと味の違いを際立たせるシングルオリジン

カカオ豆(Bean)から板チョコ(Bar)まで、製造工程の全てを自分たちで行うビーントゥバー

質ではなく量を、より安いカカオ豆ではなく、良いものをふさわしい対価で持続可能な調達

これらをキーワードにした、今まで食べたことのない味わいのチョコレートが世界の各地で生まれはじめています。

いとまも、そのムーブメントの末席に誕生しました。