マルシェやイベントだけでは、いとまチョコレートは続けられません。日常的に手に取ってもらえる場所が必要でした。そこで始めたのが、飛び込みに近い形での卸営業です。
最初に連絡したのは、近隣の道の駅系の施設でした。何軒か電話をかけましたが、まともに取り合ってもらえませんでした。
心が折れかけていたところで連絡したのが、ひまわり市場さんでした。
電話で「北杜市でクラフトチョコレートを始めたので、ぜひ置いてほしい。試食してみてほしい」と伝えました。応対してくださったのは、当時お菓子担当だった那波えり子さんでした。実際にチョコレートを食べていただき、山梨にクラフトチョコレートの文化を作りたいという話も聞いていただきました。その場では、社内で検討する、ということで商談は一旦終わりました。
それから1ヶ月ほど経って、取り扱いが始まりました。後になって、「大丈夫かな、急に辞めちゃったりしないかな、という心配もあった」と聞かされました。
それでも置いていただけたことが、いとまにとって大きな一歩になりました。今では、毎月かなりの数が動く、かけがえのない卸先です。那波社長、えり子さんとは、中小企業の経営者が集まる会でもお世話になるようになり、今では月に1回、多いときは2回、一緒に飲む間柄です。あの頃の自分には、想像もできなかった関係です。

せんのやさんにも、同じように突然電話をかけて、置かせてほしいとお願いしました。せんのやの千野さんは、思いのほか良い反応をくださり、すぐに置いていただけることになりました。
当時は、イベント販売か、せんのやでしか買えない状態が続いていた時期です。初期にいとまのチョコレートを手に取ってくださった方の多くは、せんのやで出会ってくださった方だと思います。千野さんとも、今では月に1回、一緒に飲む間柄になりました。
置いていただいているお店は、どこも本当に素敵な人たちばかりです。良い関係を築かせていただいています。
ただ、当然ながら、断られた数の方がずっと多いです。合理的に考えれば、実績も何もない個人が始めたクラフトチョコレートです。まずは様子を見るのが普通の判断だと思います。
そんな中で、山梨で、北杜で作られた、ここにしかないものを扱いたい。その面白さや直感を信じて、良い商品だと見てくださったお店に置かれているのが、いとまチョコレートなのかもしれません。
長く続く特別なお店とのつながり。あの頃の自分に、そう教えてあげたいですね。 断られ続けた電話営業の日々が、今のいとまを支える出会いにつながっている、と。