
普段スーパーやコンビニで手に取るチョコレートが、どうやって作られているか。考えてみると、ほとんどの人がよく知らないのではないでしょうか。
工場チョコレートの仕組み
大規模なメーカーの多くは、農家からカカオ豆をそのまま買うわけではありません。すでに加工された「カカオマス」や「カカオバター」といった半製品を、商社などから購入して配合するのが一般的な業界の構造です。
工程の一部を外部に任せることで、大きな規模を実現しやすくなる仕組みです。
焙煎についても、推測ではありますが、深煎りに仕上げる傾向があるのではないかと考えています。
コーヒーで例えると、スーパーマーケットに並ぶ豆は深煎りのものが多いです。深く煎るほど豆の個性は均一化され、大量生産に都合がよくなるのではないでしょうか。
結果として、香りの個性がない、均一な味わいのチョコレートが出来上がります。これが悪いということではなく、大量生産という仕組みが行き着く、ひとつの自然な形なのだと思います。
Bean to Barとは何か
一方で、Bean to Barという考え方があります。
カカオ豆から板チョコレートになるまでのすべての工程を、自分たちの手で行うという作り方です。焙煎、殻剥き、磨砕、テンパリング、型入れ、パッキング。どの工程も外部に委ねず、すべて自社で担います。
それが何を生むのか。やってみて、初めてわかることがありました。
いとまの場合
全工程を自分でやって初めてわかったことは、カカオ豆は産地によって全く別の顔を持っているということでした。同じ「チョコレート」という括りの中に、こんなにも違う個性があるのか、と最初は驚きました。
焙煎の温度、磨砕の時間、砂糖の種類や投入のタイミング。自分で決めるからこそ、 豆ごとの個性を守りながら商品化できる。全工程を握るとは、そういうことだと今は思っています。
いとまでは、焙煎時間の短い浅煎りに仕上げています。深く煎るよりも、豆の個性がはっきりと際立ち、産地ごとの違いがよくわかるようになるからです。
焙煎温度は140度、時間は20〜24分。そこから殻を剥き、72時間かけて磨砕し、テンパリングをして型に入れ、パッキングまで仕上げます。豆を仕入れてから一枚のチョコレートになるまで、約5日かかります。
工場で作られるチョコレートと、Bean to Barのチョコレート。どちらが優れているという話ではありません。
ただ、その違いは、食べれてみればわかります。
今度いとまのチョコを口にするときは、その奥にある豆の個性を、ぜひ感じてみてください。